10.26.2012

人は死ぬから生きられる_07 「神話」

茂木健一郎:死者の陰に隠れたもっとエッセンシャルな何かがあるのかもしれない。「亡くなったお母さん」というとわかりやすいけど、それは別の喪われた何かの代償なのかもしれない..

例えばネコは、好きな人間Aと好きな人間Bを、別々のふたりの人間に分けてとらえていないかもしれません。
人間は無理やり世界を理性的に秩序立てて理解していますが(そうしないと言語=言語で作り上げた世界が成立しないので)、本当は境界線を全然別のところに引いているかもしれない。夢を見るとき、人物が入れ替わったり分裂したり統合したり、場所や時間がぶっとんだり後戻りしたり混ざったりします。そっちの方が私たちが本当に見ている世界であり、クオリア(知覚対象の物理的実態や言語的意味を超えた”質感”)であり、そっちの論理で組み立てられた世界が神話ではないかと。

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