7.05.2013

39_地方にこもる若者たち 阿部真大

「新たなビジネスチャンスを探る彼は、Uターンしてきた学生時代の友人などとも積極的に仲良くし、コネクションを作ろうと努力している。そしてその先に、現状を打開する新しい仕事を探している。地元で地道に働きつつ、収入をアップするチャンスをうかがっているのである。これは、地元にこもって昔からの地元仲間たちとだけつるんでいる旧来のヤンキー的な感性とは対照的なものである」

「それはまさしく、本論で見てきた『ギャル的マネジメント』と同じ類のものだろう。多様性の高まった組織の『統合』(異質な者同士が、互いの違いをいかしあう段階)の第一歩は、組織の構成員ひとりひとりの個性を把握すること。そのために彼らについて調べ、話を聞くこと。すべてはそこから始まるのである。タッツミーは、『押し付ける』力が試される『同化』(違いを同化させる、違いを無視する段階)を基盤としたリーダーシップから、『聞く』力が試される『統合』を基盤としたリーダーシップへの転換をおこなったのである」

「これは非常に重要なポイントである。コシさんが中心となった練習は同じことの繰り返しの、極めて単調なものであった。これはダイバシティ・マネジメントにおいては『同化』の段階に当たる。多様性を認めず、あるひとつの価値観へと全員を押し込める質の悪いマネジメントである」

「田舎や都会と、郊外の最大の違いは『他者への想像力』の有無である。形は違えど、田舎と都会には、自分と異なる『他者』がおり、彼らとうまくやっていくことが、そこで生きるうえでの絶対条件だった。しかし、郊外には『他者』がいない。いないというより、むしろそれを『ノイズ』として排することを目的として、同質的な人々が集まって郊外はかたちづくられてきたのである」

地方にこもる若者たち 阿部真大

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