7.22.2013

46_就活言論 宮台真司_03

「企業とは、メンバーシップを含めて、『定常状態』(constancy)、あるいは『動的な均衡』(dynamic equilibrium)を保つシステムであり、環境が変化すればそれに応じてどのようにも変化する何者かだ、というふうに理解されるようになりました。
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そこでは目標さえも取り替え可能になります。
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花札屋だった任天堂が、今ではゲーム機のメーカーであり、あるいは公共目的で利用される端末のメーカーです。ミシンのメーカーだったブラザーは、今ではプリンターやファックスなど事務機器のメーカーです。
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企業は、目標を共有する集団ではなく、事故運動するシステムです。共有目標-例えば何を作って儲けるか-自体が、システム存続のためにいかようにも取り替えられます。恐竜の一部が恐竜絶滅後に連続的に鳥類に進化したようなことが、起こるということです。
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進化生物学の命題としてよく知られるように、『適応』しすぎると『適応力』が落ちます。このことは『進化の袋小路(deadend)』という概念として知られます。『適応』が過ぎた結果、環境が変化した場合、特殊な環境に特化した器官をどうにもできなくなる状態です
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学歴が、採用を境に業績から属性にシフトしたのは、企業が『適応』をもっぱら求めた時代の話。新しい市場環境や経営環境ゆえに企業は、従来と違って人材に『適応力』を期待し始めます」

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