7.12.2013

43_嫌われ者の流儀 堀江貴文×茂木健一郎_02

堀江 「.. ひとつの思考実験として、国家がなくなると国の防衛とかどうなるんだろう、と考えることはあるんです。たとえば、防衛って、なにからなにを守っているんだろう、みたいな根本からまず考えてみる」
茂木 「うん」
掘江 「たとえば日本は第二次世界大戦でアメリカと戦いましたよね。戦う理由はあったんだろうし、亡くなった大勢の方は本当にお気の毒だと思うんですが、日本が負けてアメリカに占領されて、でも、その結果、ぼくらは今けっこう快適に暮らしているわけですよね」
茂木 「そうだね」
堀江 「じゃあ、戦って勝たなければ国が滅びるって死んでいった人ってなんなんだろうと思うんですよ .. だってそれまで国家が言ってたように勝たなきゃ国が滅びるなんてことは全然なかったんだから」

茂木 「日本を変えようと思っていろいろ壊すことは、結局は国家という幻想を壊すことに至るのかなとは思うよね」
堀江 「たとえば中国とは尖閣諸島や大陸棚の天然ガスの問題でもめてますけど、べつに主権はどっちにあってもいいじゃん、って思うんですよ .. 地球にある資源をそれぞれの国家が管理する時代ってもう終焉に近づいているような気がするんです」

茂木 「(国家が)存在すること自体にすごく負荷がかかっているという見方もできて、もはや国家なんか必要とされていないということを、みんな薄々と気づいている。だからこそ逆に、どの国でもなんとか国家というイリュージョンを維持しようとあがいているんだよね。だから、そうした国家の内情を暴くウィキリークスはテロリストとして位置づけられなければならない」
堀江 「そう、国家という仕組み自体が無効になりつつあるんですよね。たとえばアフガニスタン .. アフガニスタンでは国家よりもタリバンのほうが民衆の支持を集めているみたいじゃないですか。なんのために内戦になっているか意味がわからなくなっている。国家というイリュージョンを維持するために国民が血を流しているとしたらおかしいでしょ」

堀江 「.. さっき茂木さんが国家と自分をヒモ付けせざるを得ない人は弱い人だって言いましたが、逆に(民間のグループとしてのアルカイダが)個人として国家に対抗できる人は強い人だという証明にもなっている」
茂木 「うん、まさにそう」

茂木 「とくに情報は重要。情報というのはそれ自体がパワーだから」
堀江 「情報と暗号技術ですね。ウィキリークスもツィッターもユーチューブも、そしてフェイスブックも、暗号技術があってこそで、そこで情報が流通して、さらに個々人の存在を強固にしているっていう視点は重要でしょう」

領土拡大の要求は、第二次大戦の戦勝国が日本の領土化を不要とした頃より主流ではなくなり、経済と情報のグローバル化が制御不能になった現代ではほぼ実利的な意味をなさず、(日本における)個人のセンチメンタルなアイデンティティに訴える政治や、(中国のような)経済の自由化が十分に進んでいない国家における役人の利権獲得のツールとしての役割でしかない。

スノーデン氏がウィキリークスのスタッフとの連携によって米国から香港に出国し、さらにロシアへのフライトに安全に搭乗出来たのは、彼らの(米国当局を上回る)暗号化技術の卓越性によるものだと言われている。

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