1.13.2014

映画『ハンナ・アーレント』に見る.. _03

"報道における" 感情の回復の問題について。
殺人などの、高度に忌まわしい事件があった際に、その被害者(故人など)の非を指摘する内容の報道に対して、現在の日本では一般的に「死人に鞭打つのか」「遺族の感情を踏みにじるのか」という非難が起こることについて ..

A. 起こった非難の根拠となる「感情」は、被害者またはその家族のものではなく、それを想像する民衆のものではないのか
B. 高度に忌まわしい出来事について、(たとえば家族を殺された被害者の)感情を察する、という好意は果たして人道的に妥当なのか
C. 被害者またはその家族は、たとえば同じ種類の悲劇が繰り返さないために、被害者の非を冷静に論じるという態度を報道に求めている可能性があるのではないか
D. たとえ被害者または被害者の家族が、C.のような冷静さを備えることが出来ない場合にも、だからこそ冷静であるべき第三者である報道は、代わりに冷静な分析を行うべきではないのか

というメタレベルの議論が存在する。
これらのジレンマを解決する最も現実的な方法は、感情の回復を待つことである。

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