10.03.2017

サーミの血

宮台:ぼくたちの社会はへんなんですよ。所有っていう概念もヘンだし、あるいはその、複雑な社会を営むために感覚を制限しているっていうことも、すごくヘンなんですね。

神保:去勢ですよね。

宮台:去勢です。おっしゃるとおり。ラカンは人類学のフランス的伝統を踏まえたうえで、フロイト再開者としていうので、去勢と言ったんです。去勢されることで、言語によってプログラムされた複雑な社会を営めるんですよね。つまりそれはヘンなこと、なんですね。「サーミの血」を観ると、この一万年、あるいはこの三千年の定住社会あるいは大規模定住社会としての文明って、相当ヘンな社会なんだなって。

神保:我々ってどう変わってしまったのかって、彼女を見ることによって見えてくるわけですよね。

宮台:ぼくたちがね、中流社会が分厚ければそれなりにソーシャルキャピタルを保ててそれなりに豊かな社会を営めますみたいに言ってるのは、結構のんきな話でね、もともと定住社会も大規模定住社会も、根本的に無理があるんじゃないのか?つまり、よほど良い条件が揃わないと、まわらないっていう可能性があるんだなってことが、この映画全体を通じてかなり明確に描かれていると思いますね。

http://www.videonews.com/marugeki-talk/860/  part 2、00:18:00ごろ

ghostwriter